厚真町主催・シンポジウム 今後の取り組みの展望 【下】 受けた恩を次の被災地に 防災・減災対策しっかり

  • 特集, 胆振東部地震から5年 シンポジウム
  • 2023年8月11日
震災から5年が経過し、今後の備えやコミュニティーの重要性について語ったパネルディスカッション =4日、厚真町総合福祉センター

  吉田良行氏=町防災担当理事

   現在、町の防災を担当しており、今話題の日本海溝・千島海溝沿いの地震、津波対策に取り組んでいる。浸水区域に住む町民を中心に進めているが、厚真町は大きな災害を経験し、町民の防災意識は高い。ただ、防災・減災の意識はもっと高めていかなければいけない。「誰一人命を落とさない」防災・減災対策を進めるためには行政の力だけでは足りず、町民の意識を高めることが必要。そのための支援ができれば。

   熊谷雅之氏=ボランティア団体「石狩思いやりの心届け隊」隊長

   被災地では何を求め、必要とし、どんな問題があるのか、共有できるようにするために、中間的な役割を果たせたら。役場、市役所、災害ボランティアセンターがすべきことは目いっぱいあるので、現地で被災者を支援する人たちの支援ができたらと思う。

   厚真町でのボランティアを通じ、「恩送り」という言葉を知った。恩返しをすることも大事だが、違う場所で災害が起きた時、受けた恩を次の被災地に送る活動が広がっていくと、経験値を高めていけるのでは。

   山野下誠氏=町社会福祉協議会事務局長

   社会福祉協議会として昨年、町と「災害ボランティアセンターの設置及び運営等に関する協定」を結ばせてもらった。私たちは次の災害に備え、自分たちのまちをしっかりとつないでいく。また、赤い羽根共同募金や多くのボランティアから支援を受けた。全国各地で起きている災害のために、地域の募金活動を通じ、次の被災地を支援する準備をしていきたい。(被災の経験などから)私たちも学ばせてもらった。手を結ぶことが自分たちのまちを守ることにもつながると思うので、そういった仕組みをつくっていきたい。

   村上朋子氏=町民団体「つむぎ」代表

   町社協や行政の組織側ではなく、住民主体のコミュニティー形成ができるのではと思い、町社協を退職し、住民団体を立ち上げた。3年目になるが、(自身が開く)体操教室に参加する豊沢地区の方々には、今も生活再建の課題を抱えている人が多い。このため自分たちの生活コミュニティーでは、主体性を持ってさまざまな活動を展開している。

   災害があったから今があるという側面もあるが、やっぱり平時のコミュニティーが大切だと思う。災害が起きていない地域では、平時からコミュニティー、顔の見える関係づくりにしっかりと取り組むと、災害が起きても住民が力を発揮できる地域になるのでは。

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