岸田文雄首相は10日、一定の条件を満たすと社会保険料の納付が必要となる「106万円の壁」の解消に取り組む企業への助成制度を創設し、10月から適用する方針を表明した。視察先の富山県射水市で記者団の取材に語った。
具体的には、従業員1人当たり最大50万円程度の助成金を企業に支給する方向で検討している。最低賃金が10月から全国平均で1002円に引き上げられる見通しとなったことから、これに合わせて適用する考えだ。
政府が6月に策定した「こども未来戦略方針」は「年収の壁」について、子育て世帯の収入減を防ぐため「必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定した上で実行する」と明記した。首相はこれに関し、時期を9月に前倒しして策定すると表明。「中小企業にも申請しやすい仕組みとし、継続的に収入増加の取り組みを行う場合には助成も継続することが必要だ」と述べた。
これに先立ち首相は、「夏の全国行脚」の一環として富山市と射水市を訪れ、電子部品開発を手掛ける企業とリサイクル事業に取り組む企業を視察。企業関係者らとの車座対話で、106万円の壁について「働く皆さんの能力、意欲を十分発揮させるためにも、環境整備に努めていかなければいけない」と語った。