電話という機械は、半世紀ほど前までは回線を相手とつなぐ時に両手が必要だった。つながれば、あとは左手と左耳と口だけで用事を足すことができた。心も込めず口先だけで生返事をし、右手で落書きをしている人もいた。携帯電話の普及でも小型化、簡便化の傾向は変わらなかった。流れを変えたのはスマートフォン(スマホ)の普及だ。インターネットとの接続や、高度のゲームの普及を武器に大きく重くても、操作に両目や両手の供出を求められてもスマホを選ぶ。そんな時代が盛りを迎えている気がする。
先日の全国紙中面の小さな囲み記事によると中国政府はスマホなどによるネット利用を「18歳未満は1日2時間まで。16歳未満は1時間までと制限する」との方針を公表したそうだ。彼の国でも、ゲームや動画視聴による子どもたちの「ネット中毒」が社会問題だという。「社会主義の核心的価値観や革命文化の称揚」などの言葉も使われて、ネット空間での言論統制がさらに強まる可能性もあるという。「四六時中ネットばかりの親にも規制を」と求める意見もあるそうだ。
買い物も行政手続きも変わっている。もう孫たちに頼んだりゲームを後ろからのぞき込んでいる場合ではないようだ。時代をしっかりと考えなくては。(水)