8月の最終土曜日に開催される日本三大花火大会の一つ「大曲の花火」を見た。秋田県に住んでいた19年前。まだ合併前の大曲市だった。客席にも地響きが伝わる迫力と大輪の鮮やかさに、今まで見てきた花火は何だったのかと思うほど感動した。あの花火師の技を、苫小牧で再び見られるとは思ってもいなかった。
今年の港まつり協賛事業「とまみん苫小牧百年花火」は初めて、苫小牧の若手経営者らでつくる一般社団法人苫小牧タウンマネジメントなどが主催した。たくさんのボランティアが立ち上がり、多くの企業の協賛も集まった。大曲から花火師を招き、約300メートルの会場幅を生かして音楽とも融合させた演出を手掛けた。あっという間の40分。誘導棒を手に運営に当たっていた同法人のスタッフは、次々に「素晴らしかった」と声を掛けられても「お客さんがすべて安全に会場を後にするまでは」と表情を緩めなかった。
「未来永劫(えいごう)、この街に残る花火大会を継続していく」。同法人はそう決意して始めた。駐車場の確保や交通渋滞、会場以外で観賞する人には見えづらかった―。指摘されたいろいろな課題に一つずつ向き合いながら、110年以上の歴史を持つ大曲のような大会を目指して、共に歩みたい。(吉)