広島は6日、78回目の原爆の日を迎えた。広島市中区の平和記念公園では市主催の平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族、岸田文雄首相ら約5万人が参列。松井一実市長は平和宣言で、5月に同市で開催された先進7カ国首脳会議(G7サミット)の意義を強調した上で、諸外国の為政者に「各国首脳に続き広島を訪れ、平和への思いを発信して」と訴えた。
式典には、過去最多となる111カ国と欧州連合(EU)代表部が出席。原爆投下時刻の午前8時15分、「平和の鐘」に合わせて1分間の黙とうをささげた。
市長は宣言で、サミットについて「各国首脳には過去の悲しみ、憎しみを乗り越え、全人類の共存と繁栄を願う『ヒロシマの心』が深く刻まれた」と強調した。
その上で、ロシアのプーチン大統領を念頭に「核による威嚇を行う為政者がいる現実を踏まえ、世界中の指導者は核抑止論は破綻していることを直視し、厳しい現実から理想へと導く具体的な取り組みを早急に始める必要がある」と訴えた。
岸田首相はあいさつでサミットについて「核軍縮の進展に向けた国際社会の機運をいま一度高めることができた」と評価。「『核兵器のない世界』の実現に向け、引き続き積極的に取り組む」とした。
新型コロナウイルスの感染流行に伴い、過去3年間は規模を縮小して開催しており、昨年の参列者は約2800人だった。今年は例年並みの規模に戻し、参列者向けには昨年の倍となる約7000席を設置。4年ぶりに一般参列席(約1200席)も用意され、市によるとほぼ満席だったという。
式典では、この1年間に死亡が確認された5320人の名前を記した原爆死没者名簿を慰霊碑に納めた。犠牲者は33万9227人となった。厚生労働省によると、被爆者健康手帳を持つ人は今年3月末時点で全国に11万3649人。平均年齢は85・01歳で昨年より0・48歳高くなった。