広島市中区の平和記念公園で、外国人観光客を相手に原爆ドームなどのガイドをする小学生ボランティアがいる。4年生佐々木駿君(10)=同市=と3年生藤本大和君(8)=広島県福山市。外国人の大人を相手に流ちょうな英語でやりとりする姿が話題を呼んでいる。2人は「戦争は二度としてはいけないと、世界に広めてほしい」との思いで、説明を続けている。
7月の厳しい日差しの下、原爆ドームを眺めている観光客に「いま時間ありますか」と英語で声を掛けた2人。原爆投下前のドームの写真を見せながら真剣なまなざしで身ぶり手ぶりを交え、大きな声で歴史などを説明した。
「この建物は昔何に使われていたか知っていますか」。途中で質問を投げ掛け、相手との距離を縮めながら話を進める。気付けば周りには外国人が集まり、相づちを打ちながら耳を傾けていた。説明が終わると「一緒に写真を」と囲まれる2人。最後は雑談を交わしながら笑顔で手を振って観光客を見送った。
ガイドを始めて3年目の佐々木君は多くて月4回ほど活動。藤本君は、佐々木君の活動に興味を持って4月から月1回ほど参加している。原爆ドームや原爆死没者慰霊碑など平和記念公園にある5カ所で、5~10分ほど説明する。
佐々木君は幼児向けの教材で英語を習得。7歳の時、原爆ドームを見て「何だろう」と思い、平和記念資料館を訪れた。その後、戦争や原爆の被害についてインターネットなどで調べるうちに「二度と起きてはいけない」と考え、得意の英語を生かしたガイドを始めた。最初は調べたことを伝えるだけで精いっぱいだったが、今は自分の気持ちを付け加えたり、意見交換をしたりしている。
別れ際には、自作の折り鶴を手渡す。帰国した観光客に、広島について周囲に伝えるきっかけにしてもらうためだ。「知っている人全員に話してもらい、それが広がって世界が平和になったら」と願っている。
曽祖母が被爆者だったが、生まれる前に亡くなっていて話は聞けなかった。今後は「被爆者から体験を直接聞いて、ガイドにも取り入れたい」と意気込む。
将来の夢はパイロットという藤本君も「世界中を飛んで、いろいろな人に広島のことを伝えたい」と語った。