北海道の短い夏。ここ数年は毎年の恒例行事のごとく「今年は暑い」と言っているような。そんな暑い時期のバードウオッチングは、水がある場所かつ日没間際を狙って行動しています。今回は厚真町の海岸線を歩いたときのお話です。
太陽が沈みかけ、きれいなら夕焼けを見ながらの散策。お目当ての野鳥はシギやチドリの仲間。波打ち際などで採餌(さいじ)することが多いのが観察のポイントの一つ。引いては寄せる波に合わせて、ちょこまか歩く姿がとても愛くるしいのです。
この日は、遠く離れたところに50羽ほどの群れを発見。トウネンやハマシギ、ミユビシギなどが交ざって餌を探していました。写真からも分かるように、波が引いた後に姿がありますよね? 人間から見るとただの砂に見えてしまいますが、小さな甲殻類やゴカイ類をしっかりと見つけ、食べているんです。
このような野鳥は、一年を通して北海道に滞在しているのではなく、冬から春、夏から秋というような季節の変わり目で観察しやすくなります。それは、夏はシベリアなどで繁殖を行い、冬は東南アジアやオセアニアの方で冬を乗り越えている渡り鳥だからです。トウネンと呼ばれる種もそうで、スズメほどの大きさしかないにもかかわらず、南北に大きな移動をするタフさを兼ね備えているというのは驚きですよね。
その姿に「愛くるしい」なんて書きましたが、当の本人たちは無事に渡りをするため必死に栄養を蓄えている真っ最中。そう考えると申し訳ない気持ちでの観察になるのですが、そうと分かっていてもかわいいものはかわいいのです。
このようなシギ、チドリの仲間との出合いは、もちろん海岸線沿いだけではなく、河川や湖などでも。暑い夏、涼を求めて水辺へ行く方も多いことでしょう。そんな時、ちょっと水際を観察してみてください。面白く、かわいい出合いが待っているかもしれません。くれぐれも、水難事故にはお気を付けて。
(日本野鳥の会苫小牧支部・小林誠副支部長)