昨年4月に高病原性鳥インフルエンザが発生した白老町の養鶏場は、2日までに8棟約46万羽の鶏の搬入を終える。発生前の飼養数の9割近くに達し、1年3カ月を経て搬入を一区切りとする。敷地内に再発防止への決意を込めた供養碑「鶏魂(けいこん)碑」を建立し、7月19日には関係者らと入魂式を行った。経営する川上一弘さん(63)は「ハード、ソフト両面の対策を尽くし、原因とみられる元を絶つことで再発防止につなげていく」と力を込めた。
同養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが見つかったのは昨年4月16日。同日、道による殺処分や養鶏場の消毒が行われ、同24日までに約52万羽の鶏が殺処分された。川上さんは鶏や卵の移動制限解除後の昨年6月から飼養を再開した。
再発防止に向けてはまず、農場を高さ3メートルの塀で囲み、シカやキツネ、タヌキ、アライグマなどの小動物の侵入を防ぐ対策を取った。またカラスの飛来防止策として鶏ふんを農場敷地内で処理することをやめた。
ソフト面では鶏ふん搬出を夜間に変更。カラスは日中、活発に動くため夜間の作業は飛来防止に効果が大きいという。また養鶏場の入り口ゲートを往来する車両の出入りを厳格化。名簿記入で取引先と時刻を把握し、靴底や手指消毒を徹底した。
農林水産省によると、鳥インフルエンザウイルスの国内侵入ルートとして(1)輸入鳥類(2)渡りの水鳥、野鳥(3)発生国からの家禽(かきん)の肉、卵(4)発生地からのヒト―の4点を挙げる。
川上さんは「厳密に言えば、どこの農場も『これだ』という感染原因はまだ究明されていない。できる限りの対策をしていく以外にない」と語る。「一番の被害者は鶏」と苦しい胸の内を明かし、再発防止の決意を新たにしていた。
高病原性の鳥インフルエンザ感染を巡っては、昨年4月の白老町以降、10月に厚真町、11月に伊達市、今年に入って千歳市内の養鶏場で相次いで発生し、現在も卵不足が続いている。