文部科学省は31日、小学6年と中学3年を対象に、4月に行った2023年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。4年ぶり2回目となる中3の英語では、「聞く」「読む」など4技能のうち「話す」について初めてオンライン方式で実施。平均正答率は12・4%にとどまり、63・1%が5問全て不正解だった。同省は「問題の場面設定が複雑で、生徒にとっては難しかったかもしれない」としている。
全国の国公私立計2万8523校の約190万人の児童生徒が参加した。その他の平均正答率は小6が国語67・4%、算数62・7%。中3が国語70・1%、数学51・4%、英語(「話す」以外)46・1%だった。
都道府県別では、各教科とも秋田や石川、福井などが上位を占めた。
英語の「話す」は約1カ月かけて分散実施したため、全国の平均正答率は初日に実施した約500校の結果から推定した。
環境問題についてのプレゼンテーションを聞いた上で自分の考えと理由を英語で30秒間話す設問では、正答率がわずか4・2%。無解答は18・8%に上り、相手の意見を踏まえて意見などを伝えることに課題があるとされた。
生徒へのアンケート調査と合わせた分析の結果、授業で英語による発表をしていた人ほど正答率が高く、無解答率も低かった。
ただ、英検といった外部検定試験の資格取得状況などを調べた別の調査では、英語力は向上傾向が続いている。 同省担当者は「今回の結果で、英語レベルが低下したと判断できない」と説明。授業で自分の考えをその場で伝え合うなどの活動を継続的、計画的に取り入れることが重要だとしている。