道端のアジサイが涼しさを誘ってくれる。ただ、あまりの暑さで少し元気がないようにも映る。札幌では最低気温が24度前後で推移する「熱帯夜」(25度以上)に近い状態が続き、眠りが浅い。そんな寝苦しい夜。豊平川の大きな花火大会を見に行った。観客で埋まった河川敷では涼風も吹いた。真夏の暑い夏が行く。
2年前の夏を思い出している。あの年も真夏日が観測史上最長の約1カ月続くなど、とても暑かった。東京五輪のマラソン・競歩競技が札幌市中心部で繰り広げられた夏だ。コロナ禍で観戦自粛が求められたものの、沿道は全国から駆け付けた観客でぎっしり。路上取材で汗がたくさん流れたことを覚えている。
そんな札幌で、2030年冬季五輪の招致活動が足踏み状態が続く。あの2年前の東京五輪を巡る汚職・談合事件の余波が、消えないためだ。チカホ(駅前通地下歩行空間)で流れていた「虹と雪のバラード」も、いつの間にか消えた。
市では大会運営の見直し案を公表。秋元克広市長は「クリーンで、新しい形の大会の実現を目指す」と力説する。市内全10区で来場者の意見を聴く「オープンハウス」も先週末から開始した。五輪に対する不信感を払拭(ふっしょく)できるか。正念場の夏を迎えている。(広)