東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、独禁法違反(不当な取引制限)罪に問われた電通元スポーツ局長補逸見晃治被告(55)と、法人としての電通グループの初公判が27日、東京地裁(安永健次裁判長)であり、ともに起訴内容を大筋で認めたが、一部については認否を留保した。
事件では、広告大手の電通グループや博報堂、イベント大手「セレスポ」など法人6社と、大会組織委員会元次長の森泰夫被告(56)ら7人が起訴された。法人の公判が開かれるのは初めて。
電通グループからは曽我有信副社長(58)が出廷。逸見被告、曽我副社長はいずれも、一般競争入札だったテスト大会の計画立案業務契約について「法令違反があったことは間違いありません」と話し、謝罪した。一方、談合の対象とされた本大会の会場運営業務などの随意契約については「認否は追って述べる」とした。
検察側は冒頭陳述で、電通グループが「森被告との関係を維持し、獲得したい競技、会場の契約を確実に受注するため協力した」と指摘。逸見被告が森被告と手分けして受注企業の割り振り表を作成したと述べた。
逸見被告は他社との調整にも積極的に関与しており、セレスポ取締役の鎌田義次被告(60)=同法違反罪で起訴=が森被告に対し、「電通さまのお口添えで話が前に進みました」などとするメールを送っていたことも明らかにした。
起訴状によると、逸見被告は森被告らと共謀し、2018年2~7月、テスト大会の計画立案業務に関する入札などで事前に受注企業を決定。受注する社のみ入札に参加させるなどして談合したとされる。