仕事を引退した中高年者は心筋梗塞などの心疾患リスクが低下していたと、京都大大学院などの研究グループが発表した。
高齢者の就労は健康に良いとされてきたが、心疾患リスクとの関連についてはこれまで一貫した結果が示されていなかった。研究グループは、日本を含む35カ国で大規模調査に参加した50~70歳の10万6927人を約6・7年間追跡。健康状態などの影響を統計学的手法で調整し、仕事の引退と心疾患リスクの関連を調べた。
その結果、就労を継続した人に比べ、引退した人は心疾患のリスクが2・2ポイント低く、運動不足になるリスクも3・0ポイント低かった。一方、肉体労働から引退した人は、肥満リスクが高い傾向にあった。
研究グループは「労働意欲がある高齢者の就労継続を支援するとともに、運動など健康増進の啓発も求められる」と述べている。
(メディカルトリビューン=時事)