中古車販売大手ビッグモーター(東京)による自動車保険の保険金不正請求問題で、国土交通省は26日、同社の和泉伸二新社長ら幹部5人を呼び、聴取を実施した。創業者の引責辞任に発展した不正の実態解明が本格化した。
聴取には石橋光国副社長や板金塗装部門の担当部長らも出席。和泉社長は聴取の冒頭、「大変お騒がせしており誠に申し訳ない」と陳謝し、他の幹部と共に頭を下げた。聴取自体は非公開で約2時間行われた。
外部弁護士がまとめた調査報告書は、従業員が意図的に車体を傷つけたり不要な作業を実施したりして、整備料金を損害保険会社に水増し請求する手口が横行していたと指摘した。聴取後に取材に応じた和泉社長によると、報告書の指摘項目を中心に見解を尋ねられたという。「内容の詳細は差し控える」としつつ、「説明は十分果たし、理解は得られた」と述べた。
国交省は今回の聴取を踏まえて事実関係を精査し、不正の内容を詳しく確認する。道路運送車両法違反の疑いが判明した場合、事業所などへの立ち入り検査を検討するとみられる。
創業者の兼重宏行前社長=26日付で辞任=は25日の記者会見で「経営陣は不正を全く知らなかった」と説明。不正への組織的な関与を繰り返し否定した。
一連の問題では、水増し請求を受けた損保各社がビッグモーターに出向者を出していたことも明らかになっており、金融庁が調査を進めている。