蒸し暑さが増す季節。汗をかき過ぎたときに適切なケアをしないと、かゆみや痛みを起こす「汗荒れ」に見舞われることもある。症状やケアについて、専門家に聞いた。
よしき銀座クリニック(東京都中央区)の吉木伸子院長は「実は汗の成分には、乳酸や尿素など保湿成分が含まれ、天然の美容液とも言われています。ただ、汗をだらだらかき過ぎて、その後のケアをきちんとしないと肌トラブルの元になりがちです」と説明する。
汗荒れとは、汗に含まれる塩分などの成分が肌に刺激を与え、ぴりぴりとしたかゆみや痛みを感じる皮膚炎の一種。乾燥や間違ったスキンケアによって皮膚のバリアー機能が落ちることなどが原因。引っかいて傷になると治るまでに数年かかることもある上、紫外線の影響も受けやすくなり、しみやそばかすができやすくなる。
大量の汗によって汗腺がつまり、ぶつぶつが発生する「あせも」と間違えることも。「日常生活で大人にあせもはあまりできない。皮膚が赤くなり、かゆいのはあせもではなく、ほとんどが汗荒れです」(吉木院長)
汗荒れは、首や腕、膝の内側のほか、衣服がこすれる場所などに起こりやすい。最近は、マスク着用による汗荒れも増えている。蒸れるため、皮膚の角質層がふやけ、マスクを外すと水分が蒸発し、皮膚が乾燥してバリアー機能が低下。そこにマスクの繊維や汗の成分が刺激になり、汗荒れが起こる。
対策としては、まず汗をかいたら、小まめにガーゼやハンカチで軽く押さえるようにして拭くこと。顔や体を洗う際は、せっけんを泡立てて、なでるように優しく洗う。
体の保湿も大切だ。ユースキン製薬(川崎市)の高嶋俊継企画部マネジャーは「入浴や洗顔後5~10分以内に素早く保湿を行うのがいいです。夏は、べたつかないジェルやローションタイプもお薦め」と話す。たっぷりの量をコットンや手で優しく塗りのばすか、手のひらで押さえ込むように塗る。潤いが足りないと感じる場合は、クリームを重ねてもよい。赤み、かゆみなどが気になるなら、保湿剤のパッケージ裏面の有効成分の欄に「炎症を抑える」「抗炎症成分」などと書かれている薬用を選ぶ。皮膚の炎症が続く場合は皮膚科を受診する。