先月、一人暮らしをする母が自宅で転倒し、足を骨折して入院することとなった。入院するまで数日の猶予があったため、母は自分で必要なものを準備したが、いざ病院で生活が始まると足りないものが出てきた。
「用意したサンダルでは転ぶかもしれないので、運動靴が欲しい」「背もたれになるような大きめのクッションを持ってきて」「新しい下着シャツを買ってきてほしい」
母からの指令に従って物資を届けると、代わりに”お土産”が渡された。中身は洗濯物。それを洗い、乾いたら届ける任務も課せられた。家の中の鉢植えの水やりも大切な仕事となった。
幸い、けがの治りは早く、母の入院生活は3週間で終わった。この間ずっと「近くに助けてくれる家族がいない場合はどうすればいいのか」と考えていた。市内でも身寄りのない人が増えているという。家族の力を借りられない人を社会全体で支える仕組みが急がれているのを痛感した。(百)