【オークランド(ニュージーランド)時事】日豪など環太平洋連携協定(TPP)締約国は16日、ニュージーランドで閣僚級の「TPP委員会」を開き、英国の加入を正式に承認した。2018年12月のTPP発効後、新たな国の加入が認められるのは初めて。TPP経済圏はアジア太平洋から欧州に広がり、12カ国の枠組みとなる。
参加国は同日発表した共同声明で、英国の加入を「参加国にとって大きな利益をもたらすものだ」と歓迎。各国は今後、必要な国内手続きを実施し、英国は来年にもTPPの締約国となる。加入交渉の作業部会で議長を務めてきた後藤茂之経済再生担当相は「引き続き、英国の加入プロセスを主導していきたい」と述べた。
英国の加入で、TPPの名目GDP(国内総生産)合計額が世界全体に占める割合は、約12%から約15%に拡大。日本は英国と個別に経済連携協定(EPA)を結んでいるが、日本の農産品では新たに、英国に輸出する際に1キロ当たり約22円かかっていた精米のほか、パックご飯の関税が撤廃される。
欧州連合(EU)を離脱した英国は、アジア太平洋地域との連携を強化するため、21年2月にTPPに加入を申請。加入交渉は今年3月に実質妥結していた。
英国の加入で、今後の焦点は申請中の国・地域への対応に移る。TPPには現在、中国、台湾、エクアドル、コスタリカ、ウルグアイに加え、ウクライナが加入を申請している。締約国側は今後、協定が定める高いレベルの自由化ルールを受け入れる用意ができているかを見極め、加入交渉を開始するかどうか決める。