震度7を観測した2016年の熊本地震の記憶を後世に残そうと、被災遺構などを展示する施設「KIOKU」が熊本県南阿蘇村に完成し、14日式典が開かれた。
式典では冒頭、参加者全員が黙とうをささげた。蒲島郁夫知事は「地震の記憶や経験、教訓を風化させないよう伝えていきたい」とあいさつした。
施設は地震で校舎が損壊した旧東海大阿蘇キャンパスの敷地内に整備された。木造平屋建てで、延べ床面積は約1200平方メートル。地震直後の映像や、活断層の位置を示すジオラマ、土砂に押しつぶされた車などを展示し、震災の体験を伝える語り部との交流スペースも設けた。15日に開館する。
式典後行われた内覧会に訪れた南阿蘇村の本田博幸さん(76)は「若い人たちに被害の大きさを知ってほしい。こういう施設がないと忘れ去られてしまう」と話した。
県は、地震で被災した熊本市や南阿蘇村など9市町村と連携し、各地に点在する震災遺構や拠点をつなぐ「震災ミュージアム」の取り組みを進めている。「KIOKU」はその中核施設となる。