夏が旬のアナゴ。道内ではハモとも呼ぶ。苫小牧港でも6月から釣れ始めた。7月上旬の夜、西港入船公園に取材に出向くと、折しも釣り人がアナゴを取り込むタイミングに出合えた。今季は序盤から好調だ。
宵のうちの入船公園は投げやルアー、サビキなど10組ほどが思い思いのスタイルで釣りを楽しんでいた。
このうちフェリー埠頭(ふとう)側の航路で投げ釣りをしていた苫小牧市の男性のさおに午後7時半ごろ、魚信があった。「初めにさお先がお辞儀し糸がふけたので、糸を張り直して少し待っているとさおがフワフワと揺れだした。アナゴ特有の当たり」と男性。
さおを大きくあおって合わせを入れ、リールを巻くと時折、さお先が絞り込まれる。水面から現れたのは50センチを少し切る細めのアナゴだった。付いたのは胴突き2本針仕掛けの下針。餌は塩イソメだ。
男性は3本のさおを50~100メートルの範囲でほぼ正面に投げ分けていた。「アナゴは今季初釣行。小さいが幸先いい」と言う一匹は、100メートル投げ込んだ仕掛けを少しずつさびいて80~70メートルの所での魚信だった。
苫小牧のアナゴ釣りは7~11月がシーズン。序盤は長さ40センチ程度だが、季節が進むと大物が上がる。秋は60~70センチ、晩秋はまれに90センチ超も釣れる。このクラスになると太さはビール瓶並みで手応えはすごい。餌はイソメのほかにイカ、サンマの短冊など。仕掛けに発光材や蓄光材を付けると効果的だ。
苫小牧で釣れるマアナゴはウナギ目。「土用の丑の日」に好まれるウナギは脂が乗っているのに対し、夏のアナゴは脂が少なくあっさりしている。天ぷらがうまい。アナゴのかば焼きがおいしいのは、太って脂が乗る秋。ふっくらとして甘みのある身の味は絶品だ。