白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)は7日、「第20回アイ・オロ・オ・コタン先祖供養祭」を白老町虎杖浜のポンアヨロ川河口のアヨロ海岸付近で行った。人々の営みが連綿と続いてきた地で祖先をしのんだ。
ポンアヨロ海岸の一帯は、縄文時代から人々が暮らし、英雄オキクルミらが登場するアイヌ民族の神話も生まれた地域。同協会は、毎年この地で儀式を執り行っている。今回は町内在住の文化伝承者宇梶静江さんや苫小牧アイヌ文化保存会、虎杖小学校の3~6年生らを含む計約80人が参列した。
民族衣装に身を包んだ関係者は、同協会の新井田幹夫さんが祭司を務める儀礼カムイノミで神に感謝の祈りをささげた。この後、イナウ(御幣)を供えた場へ移動し、伝統の作法で先祖を供養した。
儀礼後は、虎杖小の子どもたちがムックリ(口琴)を体験したり、苫小牧アイヌ文化保存会と白老民族芸能保存会のメンバーが古式舞踊を披露するなどして交流を深めた。
アイヌ民族の先祖供養は「イチャルパ」や「イアレ」など地域によって呼び名が違い、白老地域では古くから「シンヌラッパ」と呼ばれる。アイ・オロ・オ・コタンはアイヌ語で「そこに矢が群在する村」の意味で、地名に残るアヨロの語源とされている。