【ニューヨーク時事】米食品医薬品局(FDA)は6日、日本の製薬大手エーザイと米医薬品大手バイオジェンが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認したと発表した。原因とみられる物質を脳内から除去し、病気の進行を抑える効果が期待されており、治療の在り方を大きく変える可能性がある。
アルツハイマー病は、脳の神経細胞が壊れることで認知機能が低下する病気で、「アミロイドβ(ベータ)」というタンパク質の蓄積が原因と考えられている。レカネマブはこの根本原因に働き掛けることを目指しており、臨床試験(治験)では初期段階の患者の病状進行を%抑制した効果が示された。
FDAは今年1月にレカネマブを迅速承認し、世界で初めて使用を許可。ただ、いわば「仮免許」のような仕組みで、公的医療保険の適用はほとんど認めていなかった。FDAの諮問委員会は先月、投薬による効果が確認できたとして、正式承認を勧告していた。
今回の決定により、一般の患者も保険で金銭負担を抑えながら使用できる道が開けた。従来使われてきた薬は、症状を一時的に和らげる効果しかなく、新薬への期待は大きい。日本や欧州でも承認に向け申請が出されており、日本では秋頃にも可否の判断が出る見通しだ。
一方、迅速承認時の価格は標準で年間2万6500ドル(約380万円)と高額で、利用が広がれば医療財政を圧迫することが懸念される。また、投与対象は軽度の症状がある初期段階の患者に限られるため、病気を早期に発見できる体制の整備も課題になる。