座り過ぎで健康寿命縮む テレビやスマホ利用増え

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  • 2023年7月5日
座る時間が長いと肥満などになりやすく、短いと健康に良いことが分かっている

  座り過ぎると健康寿命が縮むことをご存じですか? 外遊び、運動、徒歩移動、生活活動などを含む「身体活動」が健康に良いことは、これまでも知られていました。しかし近年、身体活動を活発に行っていても、それ以外の時間に座り過ぎている人は健康でないことが明らかになっています。

   成人は座っている時間が1日に計8時間以上だと死亡リスクが増しますし、座り過ぎが心血管疾患や糖尿病、肥満のリスクであることも分かっています。これは、子どもも同様だと報告されています。

   なぜ座り過ぎが良くないか。現在分かっていることとして、筋肉が使われないことによる代謝の悪化、血管機能の低下などがあります。

   「座り過ぎ」とは、目を覚ましている時間に座っていたり横になっていたりする「座位行動」が多いことを指します。テレビ視聴やスマートフォン使用の場面などがその代表です。

   例えば、5~19歳を対象に、14種類の生活習慣と肥満・過体重の関係を調べた研究では、生活習慣のうち「1日2時間以上のテレビ視聴」は、「不十分な睡眠」「週4回以上の清涼飲料水の摂取」などより強く、肥満・過体重と関連していると報告されています。

   また、10~11歳の134人を対象に骨の健康を調べた結果では、女子は座位行動が短いほど良好な値が示されています。

   肥満・過体重と骨の健康の他にも、体力、心血管代謝の不健康、メンタルヘルス、睡眠時間の不良などに、座り過ぎが影響を与えていることが国内外で報告されてきました。

   「子どもは遊んでいるから大丈夫…」は間違いです。いくら体を動かしていても、座り過ぎていれば健康に悪影響を与えます。皆さんの周りの子どもは、座り過ぎていませんか?

  (石井香織・早稲田大教授、イラストはカモシタハヤト)

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