私は、このコラムをコミュニティナースとして書かせていただいている。コミュニティナースとは「地域の中にいて、健康的なまちづくりをする医療人材」。活動場所は病院や介護事業所ではなく「住民のそば」だ。飲食店やガソリンスタンドなど、人はさまざまな場所で活動しているので、医療や介護が必要になる以前から、日常的に顔見知りの関係を築くことができる。
医療人材とされているが、必ずしも医療福祉の専門資格が必要なわけではない。「健康」を支えるのは、必ずしも「医療」だけではないからだ。体に不調は無くとも、他者との交流が全く無く、本人が孤立を感じていれば、「健康」な状態とは言い難い。孤立を感じているその人に「たまにお茶でも一緒に飲まない?」と誘う近隣住民がいて、孤立感が軽減したとしたら、その人は「健康」に一役買ったことになるだろう。
このお茶に誘う行為は「おせっかい」なのかもしれない。おせっかいという言葉に、あまり良い印象はないが、「気遣い」と言うと良い印象になる。おせっかいになるのでは?と不安に思う時は、独りよがりにならないよう、いったん相手の話に耳を傾けて状況や思いをくみ取り、それが相手に伝わった場合に、気遣いとして受け取ってもらえるように思う。
医学的に「治療」をするのは医療だが、健康を「応援」することは、子どもから大人まで誰にでもできる。コミュニティナースの目指す「誰もが誰かの健康を応援する」姿がたくさん見られるまちに、苫小牧市がなるといいなと思っている。
(コミュニティナース・苫小牧)