マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の不具合により患者が医療費の10割を請求された問題を受け、厚生労働省は29日、再発防止に向けた対策をまとめた。窓口での請求は3割などの自己負担分のみとし、最終的に患者が加入する保険を特定できなかった場合でも、残りの負担は保険者間で穴埋めする仕組みを導入する。近く医療機関に周知し、遅くとも8月までに問題の解消を図る。
加藤勝信厚労相は同日の省内対策本部の初会合で「国民の不安や懸念の払拭を図り、安心して活用してもらえる環境整備を進める」と強調。システムの正確性向上を急ぐ考えを示した。
対策によると、カードのトラブルや通信障害などで保険資格の確認ができず、従来の保険証も持参していない場合、患者は加入する健康保険組合の名称などを書面で申告。窓口での支払いは本来の自己負担分で済むようにする。
医療機関は患者が申告した情報に基づき、自己負担分を除く診療報酬を国の審査機関に請求。無保険などで加入する保険が特定できない場合でも、残りの医療費は健康保険組合など各保険者間で負担し、医療機関側に未収金が生じないようにする。
政府は2024年秋の一体化に伴い、現行の保険証を廃止する方針。25年秋までの最大1年間は猶予期間として発行済みの保険証を使える。
ただ、マイナ保険証を巡っては、別人の情報がひも付けされる誤登録が7400件近くあったことが判明。窓口で医療費の10割を請求されたケースは少なくとも776件確認されるなどトラブルが続出している。