全国で相次いだ広域強盗事件を巡り、昨年5月に京都市の時計店で高級腕時計が奪われた事件を指示した疑いが強まり、警視庁捜査1課は29日、強盗容疑で、フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループ幹部、今村磨人容疑者(39)を逮捕した。
同課は、今村容疑者が「ルフィ」などと名乗り、フィリピンの入管施設から指示を出していたとみて調べる。一連の強盗事件で指示役の摘発は初めてで、指示系統解明を巡る捜査は重大な局面を迎える。
捜査関係者によると、今村容疑者は昨年5月2日、ほかのメンバーと共謀し、京都市中京区の時計店で、腕時計約40点(7000万円相当)を奪ったとされる。
京都の事件では実行役や強奪品処分役、レンタカー調達役などの13人がこれまでに逮捕され、多くは闇バイトで集められたとみられる。
13人のうち、報酬分配役とみられる宮沢優樹被告(22)=組織犯罪処罰法違反罪で起訴=は昨年5月11~13日、強奪品の売却金約100万円を国内の今村容疑者の口座に送金。直後にフィリピン入管施設周辺のATMでほぼ同額が引き出され、今村容疑者名義のカードが使われていた。
宮沢被告は「送金はルフィの指示だった」などと供述しており、同課はルフィを名乗ったのは今村容疑者と判断した。
今村容疑者は特殊詐欺グループの拠点だったフィリピンで2019年12月、現地当局に拘束され、入管施設に収容された。闇バイトを募って事件を繰り返していたとみられ、今年2月の日本への移送後、特殊詐欺に絡む窃盗容疑で逮捕、起訴された。