井の中の蛙、大海を知らず―。中国の故事に由来する「見識が狭く、自分の範囲内でしか物事を判断できない」意味。世間知らずということだ。
5月、約10年半勤めたスポーツ部から異動した。新たな活動の場は政治、経済分野。言わずもがな、井の中の蛙状態にある。
東胆振のスポーツは魅力にあふれていた。全国を駆け巡り、日本一の瞬間は数え切れないほど見た。甲子園の土も2回踏んだ。野球日本代表の「(伊藤)大海」とも親しくなれた。
気付けば選手たちは立派な成人、社会人になった。スポーツ部配属時は記者2年生で血気盛んだった小生も、すっかり「おじさん」になった。畑違いの部署にはなったが、今も変わらず選手たちの結果を注視し、紙面を見ては日々の励みにしている。
井の中の蛙―につながる言葉は国内で幾つか創作されている。「されど空の青さを知る」。世間知らずだからこそ見えた、透徹な景色だった。(北)