ドラマや映画、バラエティー番組でも活躍する人気歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)が27日、母親に対する自殺ほう助容疑で逮捕された。順風満帆にも見える人生からの急転直下。一家心中を図ったとみられ、東京・銀座の歌舞伎座や同容疑者の自宅周辺では、ファンらが心中をおもんぱかる一方、再び舞台に立つ姿を望む声も聞かれた。
7月に猿之助容疑者の出演が予定されていた歌舞伎座。数年前に舞台を見て以来のファンだという埼玉県本庄市の主婦小林睦子さん(67)は「悲しい。あれだけ仕事も順調だったのに。誰かに相談できなかったのか」と残念がった。
「何か悩みを抱えていたのでしょう。芸能一家で大変だったのでは」と語る女性(80)もいた。東京都台東区の無職平戸喜久雄さん(65)は「(自殺ほう助は)許されないこと」と断じながらも「何年かかってもいいから罪を償って、復帰してほしい」と語った。
目黒区の閑静な住宅街にある猿之助容疑者の自宅前には事件から1カ月超を経ても規制線が張られている。近所の50代の男性は「気の毒だが、法に従うしかなく逮捕はしょうがない」と話した。
約20年前まで自宅に配達していた米穀店の男性店主(73)は、小学生の頃に登下校する姿をよく目にしていたといい、「かわいらしかった」と述懐。「考えられない。よっぽどのことがあったのではないか」と寂しそうに話した。
渋谷区にある所属事務所では、逮捕の報道があった午前中から社員らが深刻な表情で対応に追われた。