ロシアのプーチン大統領は26日夜(日本時間27日未明)、民間軍事会社ワグネルによる23~24日の武装反乱後初めて国民向けに演説した。この中で、創設者プリゴジン氏の名指しは避けつつも「反乱の首謀者は国を裏切った」と非難し、ワグネルの活動禁止に言及。一方で、国民の「忍耐、団結、愛国心」が混乱を収束させたと評価した。 その上で「自分の命令により、さらなる流血を回避する措置が講じられた」と強調した。プーチン政権下で初の「軍事クーデター」の試みと受け止められる中、求心力の低下に歯止めをかける思惑がありそうだ。
ワグネルが南部ロストフナドヌーを占拠したり、首都モスクワに向けて進軍したりする中、プーチン政権はプリゴジン氏らの「身の安全」と「免責」を保証する代わりに、反乱部隊を撤退させることで妥結した。プーチン氏は演説で、仲裁したベラルーシのルカシェンコ大統領に謝意を示した。
反乱は大規模な衝突には至らなかったものの、ワグネルが交戦でロシア空軍機を撃墜したと伝えられた。プーチン氏は、パイロット死亡の事実を確認した上で「勇気と自己犠牲が、ロシアを悲惨な壊滅的結末から救った」とたたえた。
ウクライナ侵攻に協力したワグネル戦闘員についても、大半は「愛国者」であり、反乱に利用されただけだと指摘。▽ロシア国防省と契約して傘下に入る▽退役する▽ベラルーシに渡る―という三つの選択肢を提示し、国内でワグネルの活動を認めない考えを表明した。
これに先立ち、プリゴジン氏も26日、撤退後初の音声メッセージを発表。反乱は「抗議のためであり、政権転覆のためではない」と自らの行動を正当化した。ルカシェンコ氏がワグネルの活動継続に手を差し伸べたと明かし、ベラルーシに拠点を移す可能性を示唆した。ただ、自身の所在は明らかにしなかった。