【ニューヨーク時事】大西洋の海底で破片が発見された米国の有人潜水艇「タイタン」(全長6・7メートル)。英国の専門家は23日、米NBCニュースに対し、パリのエッフェル塔(重さ約1万トン)に相当する水圧で押しつぶされ、一瞬で大破した可能性があると指摘した。
深海3800メートルに沈む豪華客船タイタニック号の見学ツアー中に消息を絶ったタイタンの破片は22日、タイタニック号から約490メートル離れた海底で見つかった。艇内には5人が乗っていた。実際に不具合が生じた水深地点は分かっていない。
英サウサンプトン大のブレア・ソーントン教授(海洋工学)によれば、破片が発見された海底付近の水圧は海面の400倍近く。「物理的な力に置き換えると数千~1万トンほどで、エッフェル塔の重さに相当する」と説明する。
ソーントン氏は、製造上の「微細な欠陥」が引き金を引いた可能性にも言及。わずかな欠陥でも大きな圧力にさらされると船体を変形させ、その箇所に一層大きな負荷がかかる。乗員が滞在する「耐圧室」は内側に向かって一瞬で崩壊し、耐圧室は「突然消えた」状態に近いという。同氏は「(5人は)何が起きたのかを知ることも、苦しむこともなかっただろう」と推測した。