LGBTなど性的少数者への理解増進法が23日、施行された。同法は性の多様性に関する国民の理解を広げるため、政府に基本計画の策定を義務付けることが柱。これを受け、政府は内閣府に政策立案などに当たる担当部署を設置した。
同法は「性的指向およびジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」と基本理念に規定。性的少数者への理解増進に向け、政府は基本計画を定め、施策の実施状況を毎年1回公表しなければならないと定める。
「男性が女性と自称して女子トイレを使う恐れが出てくる」などとする懸念を踏まえ、「全ての国民が安心して生活できるよう留意する」とも明記し、政府に同法の運用指針策定を求める。
同法は2021年に超党派の議員連盟がまとめた法案が基になった。保守派に反対が強かった議連案の「性自認」の表現を英訳の「ジェンダーアイデンティティ」に変更。学校での啓発活動に「家庭および地域住民その他の関係者の協力を得つつ」との条件を加えるなどした。
ただ、保守派の反発は消えておらず、性的少数者の当事者にも「かえって差別を助長する」などの批判がくすぶる。