おなか(腹腔=ふくくう)の中に侵入した細菌などの病原体に対し、感染防御を担う免疫系が形成される仕組みを解明したと、大阪大の研究グループが発表した。
本来、無菌空間である腹腔内に外傷などで感染が生じると、敗血症を引き起こすなど重篤化する危険性がある。そのため腹腔内臓器の大網(胃から下方へ垂れ下がる脂肪組織)には「大網乳斑(たいもうにゅうはん)」と呼ばれる白血球凝集体構造が存在し、感染防御の中心的な役割を担う。しかし、大網乳斑が形成される仕組みは解明されていなかった。
研究グループは、マウスの大網乳斑に存在するストローマ細胞(組織の構造を支える細胞)の性質を解析した。その結果、ストローマ細胞の一部に、血液中からリンパ球が大網乳斑に流入するのを防ぎ、大網乳斑の形成に重要な役割を担っている細胞群があることが分かった。この細胞をマウスから除去すると、腹腔内のリンパ球数が著しく減少することも分かった。
(メディカルトリビューン=時事)