名古屋市の入管施設で2021年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡し、遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の第7回口頭弁論が21日、名古屋地裁(佐野信裁判長)で開かれ、収容中の様子を収めた監視カメラ映像が初めて法廷で上映された。
上映されたのは、国側が証拠として提出した居室天井のカメラ映像で、ウィシュマさんが亡くなるまでの約2週間が5時間ほどにまとめられている。この日は前半の約3時間分が、着替えなど一部のシーンを除き、法廷の左右に設置された大型モニターに音声付きで映された。
映像にはウィシュマさんが病院に連れて行ってほしいと看守らに懇願したり、「私、死ぬ」と訴えたりする場面の他、ベッドから床に落ち自力で起き上がれない様子なども映っていた。痛々しい姿に涙を流す傍聴人もいた。
国側は「保安上の支障がある」などと法廷での上映に反対していたが、佐野裁判長が2月に職権で決めた。残りの映像は7月12日に流される。
原告側代理人の児玉晃一弁護士は終了後の記者会見で、「何で(上映が)だめなのかが全く理解できない」と国の対応を批判。ウィシュマさんの妹のワヨミさん(30)は「姉がどれほど残酷な状況に置かれていたか分かってもらえたと思う」と声を震わせた。