ヤマト運輸と日本郵便は19日、メール便や小型荷物の配送で提携すると発表した。ヤマト運輸が一部のサービスを終了し、日本郵便に配送を委託する新しいサービスを始める。トラック運転手の不足が懸念される物流業界の「2024年問題」をにらみ、配送を一本化する協業で輸送効率の向上を狙う。
ヤマトは「クロネコDM便」を24年1月末に終了し、日本郵便の「ゆうメール」を活用した「クロネコゆうメール(仮称)」に変更する。フリーマーケット商品の配送などで利用が多い、郵便受けに投函(とうかん)できる薄型荷物「ネコポス」も今年10月から順次終了。24年度末までに日本郵便が配送するサービスに切り替える。
メール便などの引き受けはヤマトが行い、その後の各地域への幹線輸送や各戸への配達は日本郵便が実施する。 ヤマトホールディングスの長尾裕社長は同日、東京都内で記者会見し「協業のスタートラインに立てた意義は大きい」と述べ、協力範囲の拡大に意欲を示した。冷蔵・冷凍荷物の配達や幹線輸送での協業などを検討する見通しだ。
そろって会見した日本郵政の増田寛也社長は「相互の経営資源を有効活用することで事業成長を図る」と強調。今回の協業で、ヤマトのメール便やネコポスの売上高約1200億円の一部が配送委託料として日本郵便の収益になると期待する。
物流業界では、改正労働基準法の施行により、24年4月からトラック運転手の時間外労働規制が強化される。1人の運転手が運べる荷物量が減るため物流が停滞すると懸念されている。