アルカリ金属元素の一つであるリチウムの濃度が高い水道水を妊娠中に飲んでいた母親から生まれた子どもは、自閉症スペクトラム障害(ASD)を発症するリスクが高い可能性があると、米国とデンマークの共同研究グループが発表した。
リチウムは、海水や地殻中などに広く存在し、精神を安定させる作用があることから双極性障害(そううつ病)などの治療で使われている。ただ、妊娠中の使用は、流産や子どもの先天異常などへの影響が否定できず、議論が続いている。
研究グループは、2000~13年にデンマークで生まれたASDの子ども8842人と、ASDのない子ども4万3864人を対象に、妊婦の水道水からのリチウム摂取が子どものASDリスクに与える影響を調べた。
その結果、母親が妊娠中に飲んだ水道水のうち、1リットル当たりのリチウム濃度が7・4マイクログラム以上あることと、生まれた子どものASD発症リスクとの間に関連が認められた。
(メディカルトリビューン=時事)