広島市内で弁護士として活躍し、憲法入門書「檻の中のライオン」の著者として知られる楾(はんどう)大樹さんを講師に迎えた「檻(おり)の中のライオン講演会in安平」が10日、安平町の早来学園で開かれた。縫いぐるみを使い、政治家などの権力者を猛獣のライオン、憲法を檻に例えて解説した。
町民有志でつくる「暮らしの種まきコミュニティ」が主催し、町内外から約40人が訪れた。
楾さんは、議員や公務員は憲法を尊重し擁護する義務を負うという憲法第99条を基に「憲法を守らなければいけないのは公務員や政治家」と説明し、「私たちが安心して言いたいことが言えるのは、檻(憲法)があるから」と強調した。また、「檻に入っているからといって、何でもしていいわけではない。どのライオンを檻に入れるか、私たちが選挙で決める」と有権者の政治参加の重要性を説いた。
政治家の相次ぐ不祥事にも言及し、「檻が緩んで外に出てきていないか。ライオンが(外で)暴れないようにするために檻を作るのも、改修するのも私たち」と指摘。「ライオンの動きに関心を持つ、檻を壊そうとしていたら批判する、選挙で檻を壊さないライオンを選ぶ、という不断の努力をして」と呼び掛けた。
厚真町から来場した松岡美由紀さん(42)は「政治の裏話なども聞けて面白かった。コロナ禍で基本的人権が脅かされつつあると感じているので、それを守るために何をすればいいのか、個人でできることを聞いてみたかった」と話していた。