5 港の魅力 子どもたちへ 来て、見て、触れる機会を 女性みなと街づくり苫小牧 大西育子代表(76)

  • 未来への海図 苫小牧港開港60周年, 特集
  • 2023年6月12日

  ―苫小牧港を取り巻く環境や課題について。

   「60年前に世界初の掘り込み式港湾として開港し、道内最大の物流港にした先人たちに感謝しているが、やはり他の自然の良港とは違って、多くの市民にとって港が身近な存在ではない。苫小牧は立地に恵まれているので、他の港のように誘致活動など必死にならずとも発展してきた。(2010年に)苫小牧港・西港北埠頭(ふとう)緑地の愛称が市民の公募で『キラキラ公園』になり、市民にもかなり理解されるようになったが、最近は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、市民に足を運んでもらえるようなイベントもなかなかできなかった」

   ―女性みなとは港を身近に感じてもらおうと活動してきた。

   「(団体を設立した20年前)思いはあるのに、予算がなく、港を歩くことから始めた。車から見るのと、歩いて見るのとは、全然違う。港はとても素晴らしいのに、危険で人を寄せ付けない場所だった。今はみなとオアシス苫小牧運営協議会で『みなとウオーク』を続けているが、今でも遊歩道があっても横断歩道のないところがある。船にも乗って海から港も見てみたが、掘り込みのため平たんで『色』もなく、緑地の花壇造りから始めた。港に触れることで、気付くことがたくさんあった」

   「『予算がないからできない』では続かない。私たちは思いを実現させようと取り組んできた。小さいことだが、小さいことの積み重ねが大事。地域に認められる苫小牧港になるには、女性だけではなく、高齢者も、子どもも、老若男女関係なく、意見を取り入れるスタンスで進めないと。特にこれからまちを支える子どもたちに分かる言葉で話し、意見を集約し、具現化することが求められる」

   ―今後の苫小牧港に必要なことは。

   「未来を担う子どもたちへの仕掛け、ソフトな施策が必要。港に来て、見て、触れてもらうことで、港のことを正しくきちんと知ってもらいたい。苫小牧にしかない魅力はたくさんある。(苫小牧西港フェリーターミナルで苫小牧港の歴史などが学べる博物館)ポートミュージアムも市民にほとんど知られていない。『キラキラ公園から見る港は世界につながっている』と伝えることで、子どもたちに大きな夢をもって頑張ってもらいたい」

  (終わり)

   女性みなと街づくり苫小牧

  女性の視点で苫小牧港の活性化を目指す市民団体。各港の女性ネットワークの活動に触発され、2003年に市民有志で設立した。花いっぱい活動や「みなとコンサート」、「みなと写生会」など、港のにぎわい創出や環境整備に取り組んでいる。

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