「手っ取り早くもうかる」「すぐに元が取れる」と副業を勧められ、「遠隔操作アプリ」で誘導されるまま借金をしてしまった―。こうしたトラブルが増えているとして、国民生活センターが注意を呼び掛けている。担当者は「話をうのみにせず、借金してまで契約しないで」と話す。
同センターなどによると、数千円の情報商材を購入した人に高額なサポート契約を提示するなどして借金させる手口はこれまでもあった。2021年ごろからは「副業の説明に必要」「借り方を教える」などと、スマートフォンの表示画面を共有する遠隔操作アプリをインストールさせ、借金につなげる手口が目立つという。
20代の女性は動画投稿サイトの副業広告で見つけた事業者から、約200万円のサポートプランを勧められた。「お金がない」と断ると、「借金する方法を教える」と言われ、指示通りに遠隔操作アプリをインストール。電話で指南されるままスマホを操作し、貸金業者から計100万円を借りていたという。
遠隔操作アプリはもともと、パソコンメーカーのユーザーサポートなどで活用されている。だが、悪質な勧誘で使われると、同じ画面を見ながら次々と指示を受ける状況となり、「消費者が冷静に考える時間を持てない」(国民生活センター)恐れがある。
共有した画面から貸金業者に送信した個人情報やログインIDなどを悪用される危険性もある。同センターの担当者は「簡単に稼げるうまい話はない。説明に必要と言われても安易にインストールしないで」と話している。