経口農薬|腸内環境に影響

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  • 2023年6月8日

  食品や日ごろ使う製品などから人々の口に入る農薬が、腸内環境に影響を及ぼすことを初めて確認したと、名古屋大などの研究グループが発表した。

   農薬は、農業用作物の害虫防除などに用いられる身近な化学物質で、人間の体に日常的に微量取り込まれていることは分かっているが、腸内環境との関係については明らかでなかった。研究グループは一般住民38人(平均年齢69歳)の尿と便に含まれる有機リン系殺虫剤などの農薬の代謝物を測定し、腸内環境に及ぼす影響を調べた。

   その結果、有機リン系化合物が体内に入ったことの指標になる「尿中ジアルキルリン酸類」の濃度上昇に伴い、腸管の感染防御などの役割を果たす便中酢酸と乳酸の濃度が低下していた。研究グループは「子どもや妊婦を含む幅広い年齢層を対象とした研究や、メカニズムの解明が急がれる」とコメントしている。

  (メディカルトリビューン=時事)

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