―苫小牧港を取り巻く環境や課題について。
「RORO船(フェリー型貨物船)近代化船の発着はほぼ西港で、今後もRORO船やフェリーの増便、荷物の増加を期待している」
「一方、コンテナ船の動向は新型コロナウイルス禍の影響からか変わった。北海道に外国からの船が直接入らなくなっており、(国内貨物輸送の)内航に切り替わっている。韓国―北海道の荷物も減った。内航と外航ではステータスが違い、港湾としての収入も減るので懸念している」
「苫小牧港の歴史を振り返ると、王子製紙の紙抜きには語れない。王子の原料や製品の盛況がさらなる発展につながるので、苫小牧工場には新たな製品造りなど、引き続き頑張ってもらいたい」
―苫小牧港では新規岸壁の整備が進んでいる。
「西港区で中央北埠頭(ふとう)の新岸壁が完成した。連続岸壁化は物流業界全体が待ち望んでいた。これまでは1号東岸壁と2~4号岸壁の間が空き、相互の行き来がしづらく、大きいクレーンの場合は解体しなければならなかった。その移動が楽になる。荷さばき地も広くなり、使いやすい。連続バースで、利用増を期待している」
―トラックドライバーの時間外労働が規制される「2024年問題」への対応は。
「間接的に荷役するトラックが確保しにくくなるなどの可能性を危惧しており、自社の人間でできる自社化を進めている。体制づくりに欠かせないのは人材で、会社の魅力を高めて確保したい。働きやすい環境になるよう福利厚生の充実、(性別に左右されない)ジェンダーレスなどにどんどん取り組みたい」
―カーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出ゼロ)の取り組みは。
「厚真町で植樹して森林の育成や保護をしたり、社内の車両更新で低環境負荷を選ぶよう努めたり、できることは進めたいと考えている。ただ、現実は新エネルギーで動く荷役機械はほとんどなく、実際に使えるめども立っていない。カーボンニュートラルポートも動向を見極めながら協力したい」
―苫小牧港のさらなる発展に何が必要か。
「製造業、工場の誘致を期待したい。例えば食品加工の工場が苫小牧東部地域にできれば、北海道ブランド力による道外や外国への輸出に伴い、貨物量が増える。今後、北海道新幹線の札幌延伸で、貨物列車が減り、港の利用につながる可能性もある。製造業に寄り添わないと、これからの発展は難しい」
苫小牧栗林運輸 1950年、苫小牧運送として設立。65年に現社名に変更。港に停泊する船舶への貨物の荷積みや降ろし作業の港湾運送事業を主に、通運事業者として鉄道貨物の取り扱い、貨物利用運送事業や倉庫業など幅広く物流事業を展開する。本社は苫小牧市元中野町。