政府が掲げる異次元の少子化対策。威勢のいい言葉からは、ものすごい対策が打たれると思ってしまう表現だ。果たしてどうなのだろう。少子化対策は待ったなしと言われ続けて30年。今度こそ本気なんだろうね、と言いたくなる。
これまでも国は少子化対策を何度も発表してきた。代表的なのが今から30年前の「エンゼルプラン」。聞いたことがある読者も多いと思うが、当時は複数の省庁がまたがって策定した計画。そのことが画期的でもあり、期待も大きかった。
しかし、効果は期待外れに。その後も「新」計画が発表されたものの、少子化の勢いは止められていない。2022年の出生数は、1899年の統計開始以降初めて80万人を割った。今年はこの水準をさらに下回っており、3月1カ月の出生数は前年同月比で5・8%も減少。苫小牧市も同様の傾向で、昨年は記録が残る53年以降で初めて千人を割る900人台で、今年も同月に生まれた赤ちゃんはわずか63人だった。
異次元対策はこの状況を好転させられるのか。財源論は議論されても、本質的な中身の議論は聞こえてこない。児童手当の拡充や保育サービスの充実といった施策は並ぶ。大切なのはスピード感だ。まさに本気度が問われている。(昭)