白老町に移住し、早くも1年が過ぎました。白老の地域おこし協力隊に着任したのが昨年5月。今年1月より、大町にて「またたび文庫」という本屋を営んでいます。
沖縄県出身です、と自己紹介すると、「遠い所からよく来たねー!」とすぐに顔を覚えてもらえます。これは地の利、でしょうか。
これまで多くの方のお世話になり、50年近く続く喫茶店「休養林」の相吉京子さんもその一人。昨年4月末、初めてお店を訪れました。きれいなお花が咲くお庭と、「喫茶休養林」と書かれた木製のドア。歴史の地層を感じる入り口に引き寄せられたのです。
移住したばかりの私に、相吉さんはいろんな話を聞かせてくれました。東京の高田馬場から嫁いできて、お店の傍ら、森歩き、俳句、アイヌ語教室、白老ペンクラブの活動を続けてきたこと。最近出会った良いお医者さんや、お客さんについてのお話。気付けば3時間ほどが過ぎていました。
「私はね、とっても運が良いの。ここに立っているとすてきなお客さんがやって来るのよ」
木の椅子にちょこんと腰掛けながら、きらきらとした目で話す相吉さん。この地に根を張るように力強く生きてきたからこそ、今も心を開いて人と向き合えるんだろうな、と感動したのを覚えています。
そんな相吉さんも1999年6月から1年間、「ゆのみ」の執筆をされていました。店と子育てで多忙な中、頑張って書いたそうです。出会って1年後、私も書くことになるとは。ご縁というのは不思議で、大変ありがたいものです。これから丁寧に書かせていただこうと思います。
(またたび文庫店主・白老)