お金の代わりに人の得意なことを運用する「とくいの銀行 白老支店」の第3回「ひきだし」イベントが25日、白老町大町2のカフェ結で開催された。認知症をテーマに12人が参加し、得意を預ける町民から知識や料理などの成果を堪能し、テーマへの理解を深めた。
町社会福祉協議会(社協)事務局長の庭山了さん(59)が認知症の人が実際に見る世界を旅行記形式で表現した本「認知症世界の歩き方」について講話。認知症家族の支援を17年間担当した経験などから「認知症は原因不明の病気ではない。認知機能障害で困難なことはあるが、工夫をしたら生きやすくなる普通の病気」と訴え、偏見を持たないことなど認知症の人と向き合う対話のこつなどを伝えた。
町認知症の人と家族などの会の吉良哲子会長(65)は手作りしたダイコンやニンジン、シイタケなどの煮物を振る舞い、町内で活動するコミュニティナースの須貝夢乃さん(27)が認知症予防につながる食材の解説を行った。店主の田村尚華さん(48)は香りの効果に関するワークショップでミニスプレーボトルの作り方を教えた。
「とくいの銀行」は、自分の「得意」が誰かにとって「役立つ、助かる、喜ばれる」ものになることを体験し、地域のコミュニケーションにつながることを目指す。白老支店は今年1月に開行し、5月25日時点で「とくい」の登録件数は146件。同店や社協で照会や登録ができる。