(4)働き方 在宅勤務増える 市職員にも「改革」浸透

  • 暮らしの記録~コロナ禍を越えて, 特集
  • 2023年5月26日
在宅勤務中を知らせる紙が張られたパソコンについて説明する鳥羽さん

  苫小牧市役所6階の総務部。職員が忙しそうに働くフロアの一角に「在宅勤務実施中」と書かれた紙がパソコン画面に垂れ下がっていた。市職員の働き方改革を推進する行政監理室服務主幹の鳥羽亜矢子さん(50)は「机が空いていると休みと勘違いしてしまうので、それを防ぐ工夫」と説明した。

   新型コロナウイルスが2020年に流行して以来、密を回避できると多くの職場が導入した在宅勤務。「テレワーク」とも呼ばれ、鳥羽さんは「各部署で新たな働き方として定着しつつある」と手応えを語る。

   18年に成立した働き方改革関連法を踏まえた職場環境の改善を模索する中で、コロナ禍が直撃。テレワークは20年5月に感染症対策の一環で特例的に始まった。

   当初は企画立案や情報収集、資料分析など対象はごく限定的だったが21年2月、国の自治体テレワーク推進実証実験に参加。個人所有のパソコンから市の行政ネットワークにアクセスできる環境を整えた。

   一時的に個人のインターネット回線から切り離し、個人情報を扱うネットワークと分離するなど安全対策を徹底。貸与用のノートパソコンも増やし、テレワークの実践を促した。

   その結果、年間利用者数は20年度に延べ141人だったのが21年度は1350人、22年度も1018人と、1000人台で推移。「家族との時間が増えた」「いつもと違う環境で仕事ができ、良い刺激になった」と好評で、鳥羽さんは「作業効率が上がり、時間外勤務減少にもつながった」と喜ぶ。

   21年度は職員のコロナ感染などが相次ぎ、庁内の一部部署を一時的に閉鎖する事態も経験。「業務継続には多様な働き方が欠かない。コロナ禍は働き方改革を加速させた面もあった」と振り返る。(河村俊之)

  (おわり)

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