厚真町は、のり面緑化工事などを手掛ける「ロンタイ」(大阪府守口市)と、胆振東部地震で被災した森林再生に関する協定を結んだ。森林復元のための緑化試験を3年かけて行い、有効な工法を見いだしていく。町は森林再生の新たな足掛かりとして期待を寄せている。
2018年9月の震災による山腹崩壊で厚真町の森林被害は約3200ヘクタール。町によると、1000ヘクタールほどは特殊地ごしらえを施すことで植林が可能になるが、残りの2000ヘクタールは急傾斜などで人が入るのが難しい上、自然の回復も思うように進まず、大きな課題になっていた。
同社は森林再生のための工法開発を町に提案。計画によると、土がむき出しになっている町有の傾斜地に、現地の土壌や種子を入れた植生袋を固定し、萌芽の状況などを観察していく。また雨水で溝ができた部分にはヤシの繊維を詰め、その上に植生袋を置くなど13パターンの試験を行う。すでに施工が始まり、24年度は今年度の結果を基により効果的な工法を絞り込み、25年度の工法確立を目指す。
18日に町総合福祉センターで締結式を行い、同社の中川太郎代表取締役は「現地を見てきたが、なかなか緑化が進んでいない。(森林再生のために)もっといいものをつくって努力する」と意気込みを述べた。
町産業経済課は「一気によくなるものではないが、自然回復に必要な技術などを民間の力を借りて明らかにしていけたら」と話した。