岸田文雄首相の長男で首相秘書官(政務担当)を務める翔太郎氏(32)が、昨年末に首相公邸で親族と忘年会を開いたことが25日、分かった。同日発売の週刊文春が報じ、松野博一官房長官が認めた。首相は翔太郎氏を厳重注意。首相官邸で記者団に対し、「国民の不信を買うようなら誠に遺憾だ」と陳謝したが、更迭は否定した。
首相は「報道されている行為は適切さを欠く。緊張感を持って対応してもらいたい」と強調した。
翔太郎氏は、先に首相の欧州訪問に同行した際も、公用車で観光するなどの疑惑が報じられた。首相の身内からの相次ぐ騒動に、政権幹部は「脇を締め、慎まなければならない」と苦言を呈した。
週刊文春や松野氏の説明によると、翔太郎氏は昨年12月30日に親戚10人以上を公邸に集めて忘年会を開催。私的な居住スペースでの食事の場には首相も顔を出したという。
公邸は首相の東京での「自宅」となるほか、来日した海外首脳との会談にも活用される。1929年に竣工(しゅんこう)された旧首相官邸を移動・改修し、2005年から公邸として使用。現在は岸田首相と翔太郎氏が住む。
週刊文春は、公邸が過去に官邸だった当時に行われていた組閣時の記念撮影を模した翔太郎氏らの集合写真、赤じゅうたんが敷かれた階段に参加者がもたれ掛かる写真なども掲載した。
松野氏は記者会見で、公邸について「首相や家族が居住する施設だが、迎賓、執務機能を有する公的施設だ」と説明。「私的な居住スペースで親族と食事を共にすることは特段問題はない」としつつ、公的なスペースでの撮影などを「首相は報道で認識し、厳しく注意した」と述べた。
与野党からも発言が相次いだ。自民党中堅は「脇が甘い」と指摘。立憲民主党の山井和則国対委員長代理は党会合で「公邸は危機管理の場所だ。公私混同も甚だしい」と批判した。