天然きのこ鍋などの名物料理で町内外に多くのファンを持つ白老町大町の「ファミリー居酒屋・河庄」に23日、函館市在住の版画家、佐藤国男さん(71)が初めて訪れた。佐藤さんは同店代表の三国志の生さん(38)と家族ぐるみで付き合いがあり、店頭の看板を無償で制作、寄贈していた。
三国さんは夫の豊さん(38)と共に2020年10月、先代店主の河崎光典さん(80)から経営を引き継ぎ、その際、志の生さんの両親が親友の佐藤さんに看板制作を依頼。佐藤さんはヒノキの一枚板(70センチ×180センチ)から3日ほどかけて、ゴミシやギョウジャニンニク、サケ、キノコなどをあしらった看板を完成させた。「ファミリー居酒屋 河庄」の文字は、佐藤さんの友人で書や刻字を趣味とする吉岡みきさん(70)が手掛けた。
佐藤さん、吉岡さんら7人は同日、民族共生象徴空間(ウポポイ)を見学した後、同店で名物のきのこ鍋や山菜の天ぷらに舌鼓を打った。佐藤さんは「看板を大きく掲げてもらってうれしい」と笑顔を見せ、吉岡さんも「子どもの頃から知る志の生ちゃんが着物姿で頑張ってる姿は感慨深い」と目を細めた。
三国さんは「ずっと店に来てもらいたいと願っていたので実現してうれしい。看板の絵柄は私の希望を佐藤さんが全部聞き入れてくれた」と感謝した。店では感謝を込めて、佐藤さんの版画をあしらった絵はがきや著書を販売している。
佐藤さんは1952年、北桧山町(現せたな町)出身。25歳で宮沢賢治に魅せられ、版画で賢治の世界観を表現している。84年に宮沢賢治研究の第一人者、故斉藤征義さんとの共著で絵本「銀河鉄道の夜」を発表した。