はがきに描かれた素朴で温かく、味わい深い絵に、大切な人へ向けた言葉を添える絵手紙。地域にその魅力を伝え続ける苫小牧絵手紙の会会長、鈴木臣子さんは「描いているときは1人のようだけど、相手のことを想像すると2人に感じられる」とほほ笑む。
日本絵手紙協会公認講師の資格を持つ鈴木さんは、市内外で講座を開くほか、アウトリーチ事業で小学校の児童に絵手紙の楽しさを伝える。「児童たちの生き生きした姿や、伸び伸びと自由な作品を見るのは面白い。子どもから教わる部分もある」と話す。
苫小牧絵手紙の会としても作品展を各地で開くなど精力的な活動を続けているが、加速する電子化の波が押し寄せ、ピーク時250人ほどいた会員数は年々減少している。高齢化も進み、催しの準備をするボランティアの人数も減って、活動の維持が難しくなってきている。
それでも「絵手紙にしか伝えられない心がある」と前向きに筆を執る。夫婦や孫、子どもなど大切な人に送る思いとぬくもりは、「誰でも墨と筆さえあればできる。下手でいい。下手がいい。気張らず気楽にゆっくり楽しめれば」。
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胆振日高の会員から成る苫小牧絵手紙の会は、70代を中心に約80人が所属。問い合わせ 電話0144(74)0649。