【パリ時事】スペインのアストゥリアス皇太子財団は24日、今年のアストゥリアス皇太子賞(文学部門)を作家の村上春樹さんに授与すると発表した。村上さんについて「幅広い世代に大きな影響を与えた。現代文学における主要な長距離ランナーの一人だ」とたたえている。授賞式は例年10月にスペイン北部オビエドで行われる。
財団の審査員団は「(村上)文学のユニークさや普遍的な射程、野心的で革新的な語りにより日本の伝統と西洋文化の遺産を融和させる手腕」を高く評価。その上で、村上さんが「孤独や存在の不確かさ、テロ、大都市での人間性喪失」といった重要なテーマに挑んだと指摘した。
村上さんは長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「ノルウェイの森」などの著作で知られる。毎年、ノーベル文学賞の候補にも挙げられてきた。
アストゥリアス賞は文学以外に社会科学、スポーツなどの部門がある。今年の芸術部門賞は米女優メリル・ストリープさんに決まった。昨年は平和部門で、世界的建築家の坂茂さんが受賞している。