新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類に移行した8日夜、苫小牧市表町の「刺身居酒屋 なか善」は20人規模の宴会もあり、コロナ前のにぎわいが戻ったようだった。
系列店のスタッフが一堂に会する宴会に参加していた旭町の飲食店経営、伴謙斗さん(32)は「久々に皆で集まることができてうれしい」と笑顔を見せた。
活気づく店内に「なか善」の藤淳一社長(46)もうれしそう。「コロナ禍は大変だったが、勉強になった」と振り返る。
この3年は感染対策として店舗入り口に検温器と消毒液、座席には間仕切りを常設。抗菌機能の付いた換気設備導入で、客がいつでも安心して利用できるように心掛けてきた。オンライン会議も導入したが緊急事態宣言時などは、午後8時までの「時短」を余儀なくされた。
そんな中でも常に客のニーズに応えられるよう従来と同じ量の魚を仕入れてきたためキッチンカー出店や弁当販売などあの手この手で食品ロスを出さない工夫も必要だった。
「従業員38人の生活が懸かっていたので営業できなかったことが一番つらかった」と回顧。その後もたびたび時短営業を迫られる厳しい環境が続いたが、公的支援金も活用して何とかやってこられた。
「飲食店は『早い』『安い』『うまい』の3点が重要だったが、『安心』『安全』も加えた5点が大切になっている」と強調。「今後は人数制限もなくなり、100人規模の大宴会も増えると思う」と期待を膨らませつつ、引き続き十分な安全対策を講じて営業していくつもりだ。(陣内旭)