デジタル庁は23日、国や自治体からの給付金の振込先となる「公金受取口座」とマイナンバーとのひも付けで、別人のものを誤って登録するケースが複数の自治体で発生したと発表した。同庁によれば、福島市など6自治体で11件確認された。自治体窓口で登録を支援する際にミスがあったことなどが原因。誤登録された口座への入金はない。
河野太郎デジタル相は同日の閣議後記者会見で「本来こういうことは起こしてはならないが、どうしても避けられない人為的なミスがある」と指摘。その上で、これまでに登録された公金受取口座の総点検に着手したと明らかにした。
福島市では、担当者がマイナンバーカードの個人向けサイト「マイナポータル」で口座の登録操作を支援していたところ、先に手続きした人がログインしたままの状態だったため、次の人の口座情報が前の人のマイナンバーにひも付けされるミスが4件発生。同庁の自治体向けマニュアルではログアウトの確認を求めているが、運用が徹底されていなかった。
デジタル庁が明らかにした6自治体11件のほかにも、福島県いわき市が23日、1件の誤登録があったと発表しており、件数は増える可能性がある。
公金受取口座は、預貯金口座情報をマイナンバーとともにデジタル庁に登録する仕組みとなっている。1人1件を任意で登録でき、14日時点の登録数は約5372万件。政府はマイナカードの普及を促すため、取得者にポイントを付与する「マイナポイント」事業を実施しており、口座を登録すればポイントがもらえる。このため、自治体が手続きを支援していた。
さらに、今国会で審議中のマイナンバー法などの関連法改正案では、行政機関が保有する口座情報について、本人が一定期間内に「不同意」としなければ、デジタル庁に口座を登録できるようにする特例制度の創設も盛り込まれている。
一方、マイナカードを巡っては、カードを使った住民票などのコンビニ交付サービスで、別人のものが発行されるトラブルが相次いだ。カードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に別人の情報がひも付けされる問題も7000件余り起きている。