むかわ町穂別ふるさとの森づくり実行委員会(小坂利政委員長)が主催するマザーズ・フォレスト町民植樹祭が20日、町穂別ニサナイ地区の町有林で開かれた。芥川賞作家の奥泉光さんや女子マラソン五輪メダリストの有森裕子さんらをゲストに迎え、町民を含む約90人がトドマツの苗木300本を植えた。
同賞は旧穂別町時代の1992年に創設し翌年、第1回受賞者に奥泉さんを選出した。受賞者には町有林野内の「母の森(マザーズ・フォレスト)」で木を植え、森林を育てる権利を贈呈し、植樹活動を通じて町民と交流を深めている。
今年は胆振東部地震から5年目に当たり、復興推進記念事業として開催。開会セレモニーで竹中喜之町長は「これからの未来に向かって、森づくりを皆さんで楽しんで」と呼び掛け、町職員の手ほどきを受けた参加者は斜面の山林に木の苗を植え、心地よい汗を流した。
穂別高校3年の伊藤歩さん(17)は「木が大きくなるまでには何十年もかかる。高校生が取り組みに参加することは大事なこと」と話していた。
植樹祭に先立ち、穂別地区の森づくりに大きく貢献し、昨年11月に73歳で亡くなった映画監督の崔洋一さんと、惑星科学者の松井孝典さんに対し、参加者全員で黙とうをささげた。崔さんは穂別地区のお年寄りを主体とした映画「田んぼdeミュージカル」の制作に協力し、第2回マザーズ・フォレスト賞を受賞した。松井さんは第4回受賞者で今年3月に77歳で亡くなった。